インサイダー取引の未然防止について

上場会社の内部情報を知りうる特別な立場にある者が、未公表の重要事実等(決算予想値の修正や、新株発行等)を知って株式の売買等を行うインサイダー取引は、公表されなければそのような情報をしりえない一般の投資家との間での公平性を欠くものであるため、法令で禁止されています。

このページでは、インサイダー取引の未然防止に努めるために当社からお客様にお願いしていること、およびインサイダー取引規制に関する詳しい内容を記載しております。

1.お客さまへのお願い

当社では、インサイダー取引の未然防止に努めるため、お客様が上場会社等の役職員等の会社関係者に該当される場合には、インサイダー(内部者)登録のお手続きをお願いしております。

該当するお客さまは、アプリまたはウェブサイトから登録のお手続きをお願いします。アプリまたはウェブサイトでは追加登録のみが可能です。登録内容の変更および削除をご希望のお客さまはカスタマーサポートセンターまでお問い合わせください。

  1. (1)「内部者登録制度」とは
    お客さまが初めて上場会社等の株式や社債等のお取引を行う場合、証券会社等で、口座開設時に申込書等により、「上場会社等の役員等」であるかどうかを記載・登録していただく制度です。また、お客さまが「上場会社等の役員等」であるかどうかに関する変更があった場合にも、証券会社に対し、お届け出いただくことになります。
  2. (2)「上場会社等の役員等」とは
    お客さまにお届け出いただくことになる「上場会社等の役員等」は以下の通りとなります。
    1. ①上場会社等※1の役員(執行役員その他役員に準ずる役職にある者を含みます。以下、「役員」といいます。)
    2. ②上場会社等の主要株主(総株主の議決権の10%以上を所有する者)
    3. ③上場会社等の役員の配偶者及び同居者
    4. ④上場会社等の大株主(直近の有価証券報告書、半期報告書又は四半期報告書に記載されている大株主をいいます。第2号を除きます。)
    5. ⑤上場会社等の使用人その他の従業者のうち金融商品取引法第166条に規定する上場会社等に係る業務等に関する重要事実(以下、「重要事実」といいます。)を知り得る可能性の高い部署に所属する者(第1号を除きます。)
    6. ⑥上場会社等の役員、上場会社等の親会社※2又は主な子会社の役員でなくなった後1年以内の者
    7. ⑦その他上場会社等の経営情報に接する者
    8. ⑧上場会社等の親会社の役員又は上場会社等の親会社の重要事実を知りうる可能性の高い部署に所属する者
    9. ⑨上場会社等の主な子会社の役員又は上場会社等の主な子会社の重要事実を知り得る可能性の高い部署に所属する者
  1. ※1上場会社等には、上場投資法人(REIT、インフラファンド)および資産運用会社を含みます。
  2. ※2上場会社等の親会社には、上場投資法人(REIT、インフラファンド)の主な特定関係法人を含みます。

2.インサイダー取引とは

  1. (1)インサイダー取引規制の概要
    1. ①上場会社の役職員等の会社関係者(会社関係者でなくなった後1年以内の者を含む。)が、
    2. ②その会社の業務等に関する重要事実(例えば、その会社の決算予想値に大幅な修正を生じた事実、その会社が新株発行を決定した事実等)を、
    3. ③自身の職務等に関して知った場合、
    4. ④その重要事実が公表される前に、
    5. ⑤その会社の売買をしてはならない。
    というものです。

    例えば、上場会社の役職員が、自社の会議出席やメール閲覧等により、自社の決算予想値に大幅な情報修正を知りながら、その公表前に自社株式を買い付けるような場合が該当します。

    また、上場会社の会社関係者から重要事実を伝えられた者が当該上場会社の株式を売買する場合や、上場会社に対して公開買付けを行うこと等を決定した他の会社の役職員が当該上場会社の株式を売買する場合についても、基本的に上記と同様の規制があります。

    重要事実を知っていたとしても、当該事実が「公表」されていれば売買しても問題はありませんが、新聞等のメディアによるスクープ報道があっただけでは、法令上の「公表」がされたことにはなりません。

    多く用いられている公表の方法は、TDnet(適時開示情報伝達システム)という、上場会社が重要事実等を取引所等に伝達し、公表するための電子的なシステムを用いた方法です。

    上場会社が重要事実を証券取引所に対してTDnetを通じて通知すると、当該情報が、証券取引所等が共同で運営するウェブサイト「適時開示情報閲覧サービス」に掲載され、即時に「公表」されたことになります。

  2. (2)金融商品取引法における内容
    1. ①会社関係者等によるインサイダー取引の禁止(金融商品取引法166条)
      上場会社等の役職員や取引先等会社と関係ある者(会社関係者)が、その職務等に関して会社の業務等に関する重要事実を知った場合には、これが公表された後でなければ、当該上場会社等の株式等の売買等を行ってはならないとされています。また、会社関係者から重要事実の伝達を受けた者(いわゆる情報受領者)も、同様に当該上場会社等の株式等の売買等を行ってはならないとされています。
    2. ②公開買付者等関係者によるインサイダー取引の禁止(金融商品取引法167条)
      上場会社等の株式等の公開買付者等関係者が、未公表の公開買付等の実施または中止の事実を知った場合には、これが公表された後でなければ、当該上場会社等の株式等の売買等を行ってはならないとされています。また、公開買付者等関係者から公開買付等に関する事実の伝達を受けた者(いわゆる情報受領者)も、同様に当該上場会社等の株式等の売買等を行ってはならないとされています。
    3. ③役員・主要株主に対する規制(金融商品取引法163条~165条)
      インサイダー取引規制では、前述の禁止項目に加え、上場会社等の役員、主要株主(10%以上の株主)について、重要事実を容易に知りえる立場にあることから、当該上場会社等の株式等の売買等について次の規制が課せられています。
      1. (ⅰ)売買報告書の提出義務(金融商品取引法163条)
        上場会社等の役員や主要株主が、当該上場会社等の株式等を売買した場合は、その売買に関する報告書を売買のあった日の翌月15日までに、内閣総理大臣(金融庁長官に委任)に提出することが義務付けられています。金融商品取引業者等を通じて売買した場合は、その金融商品取引業者等を経由して報告書を提出することになります。

        ※当社で「インサイダー登録」をしていただいているお客さまが当社でお取引された場合、必要な手続きをご案内させていただきます。

      2. (ⅱ)短期売買による利益返還(金融商品取引法164条)
        上場会社等の役員や主要株主が、6ヶ月以内に当該上場会社等の株式等を売買し利益を得た場合には、当該上場会社等は、その役員または主要株主に対して、得た利益を会社に提供するよう請求できることとなっています。なお、その役員や主要株主が会社に利益の提供をしないときは、内閣総理大臣は、一定の手続きを経た後、利益を得た売買の内容を公衆縦覧に供します。
      3. (ⅲ)空売りの禁止(金融商品取引法165条)
        上場会社等の役員や主要株主は、保有する当該上場会社等の株式等の額を越えて売付(空売り)を行うことを禁止しています。